バイパスモードは、デバイス自体がディセーブルの時の動作モードです(上表参照)。従って、ご質問の状況とは異なります。その場合、上表の全デバイスが対象となり、出力電流は約100 mA (typ.)に制限されています。従って、より大きな電流を出力させようとするとデバイスの出力電圧が落ち、その制限された出力電流で平衡するように動作します。入力電圧が、設定された出力電圧より下がると昇圧動作が開始します。
MCP1703AはMCP1703とは異なり、入力電圧に対するドロップアウト電流を計測しています。そのため、MCP1703Aのデーターシート(DS20005122)のp. 1左上のFeaturesの第一項目にReduced Ground Current During Dropoutという表現があります。この表現にあるGround Currentは、仕様には記載していません。しかし、図2-36に入力電圧に対するDropout Currentについての特性を示しています。また、図2-33と図2-34に入力電圧に対するGround Currentについての特性図を示しています。
なお、仕様で定められた特性を見ると、下表の通り両者の相違は大きくはありません。
a) LDOの入力に電流が安定して供給されている場合
LDOはオペアンプの応用です。事実、LDO内部の誤差増幅器はオペアンプそのものです。従って、バンド幅という性能限界があります。出力電流変動がバンド幅以内であればLDOの処理できる周波数範囲内です。従って、もてる性能を発揮する事が可能です。ところが、出力電流変動の周波数がバンド幅より高くなるとLDOは負荷変動に対して電流を供給できなくなります。その時にLDOに代わって負荷に電流を供給するのは出力容量です。
b) LDOの入力に電流が安定して供給されていない場合
入力電流供給源の変動をPSRRの範囲で吸収して負荷に電流を供給できれば良いのですが、入力電流供給源の瞬断等の理由でLDOの入力に電流が安定して供給されない場合があります。この場合、出力容量から負荷に電流を供給する事になります。