SAR ADCを1個しか使わない場合、電圧の標本化タイミングと電流の標本化タイミングは一致しません。しかし、その時間差が一定ならば簡単に補正できます。
『MCP6L2 and PIC18F66J93 Energy Meter Reference Design (52088B)』は汎用単電源オペアンプとPIC18F66J93が内蔵する1個のSAR ADCを使った電力計リファレンスデザイン ボードの取り扱い説明書です。これに、下記のような説明があります。
電圧の標本化と電流の標本化の時間差が既知の場合、この時間差は標本化される信号同士の位相差と考える事ができます。異なる位相で標本化した電圧と電流との瞬時値を用いて計算した電力の瞬時値に下式を当てはめれば、本来の瞬時値に補正可能です。
なお、商用電源とADCとの間のインターフェイス回路で生じた位相差も、この式を用いて補正可能な場合があります。
『MCP6L2 and PIC18F66J93 Energy Meter Reference Design』は、汎用単電源オペアンプ(MCP6L2) とPIC18F66J93が内蔵する1個のSAR ADCを使った電力計リファレンス デザインです。本基板は、被計測電流のダイナミックレンジを広げるために大電流用の計測経路と小電流用の計測経路の2系統を持ち、双方をオーバーラップさせています。この方法をお試しください。